山口県岩国市の銘酒「五橋」— 酒井酒造の伝統と革新
1. はじめに
日本酒好きなら一度は耳にしたことがある「五橋（ごきょう）」は、山口県岩国市の老舗酒蔵・酒井酒造によって醸される銘酒です。その名は、岩国の名勝「錦帯橋」に由来し、五連の美しいアーチがかかるように、日本酒の五味（甘・辛・酸・苦・渋）が調和した深い味わいを持つことを表しています。本記事では、酒井酒造の歴史や「五橋」の特徴、ラインナップなどについて詳しく解説します。
2. 酒井酒造の歴史
酒井酒造は、明治4年（1871年）に創業した140年以上の歴史を持つ酒蔵です。岩国市は、清らかな水と豊かな自然に恵まれた地域であり、古くから酒造りが盛んな土地でした。酒井酒造は、そんな地の利を生かし、厳選された酒米と錦川の名水を使用して高品質な日本酒を醸してきました。
1947年（昭和22年）、全国新酒鑑評会で第1位を獲得したことで、「五橋」の名が全国に知れ渡ることとなりました。その後も、時代のニーズに応じた酒造りを続け、現在では伝統を守りつつも革新を取り入れた多彩な日本酒を展開しています。
3. 「五橋」の特徴
「五橋」の最大の特徴は、五味のバランスが取れた深みのある味わいです。また、地元・山口県産の酒米を中心に使用し、伝統的な手法と最新技術を融合させた酒造りを行っています。
酒井酒造では、日本酒の製造工程において「四段仕込み」を採用することが多く、通常の三段仕込みよりも米の旨味をしっかり引き出す製法を取り入れています。そのため、「五橋」の日本酒は、味の厚みがありながらもスッキリとした後味が特徴的です。
4. 「五橋」の主なラインナップ
4-1. 五橋 純米酒
五橋のスタンダードな純米酒。口当たりが柔らかく、米の旨味をしっかり感じられる1本です。冷やしても燗でも美味しくいただけます。
4-5. 限定品
五橋の限定品は、特別な製法や希少な酒米を使用したプレミアムな日本酒が多く、酒蔵限定販売や特定のイベントでのみ購入可能なものもあります。
・五橋 トラタン辛口：山田錦を使用し、精米歩合40%まで磨いた贅沢な純米大吟醸。
・五橋 rideシリーズ：生酛仕込みによる深いコクとキレのある味わい。
・五橋 NOTEN：木桶で発酵させた、伝統的な醸造方法による芳醇な日本酒。
4-6. 季節品
五橋では、四季折々の季節限定酒も人気です。
・五橋 純米 あらばしり（春）：フレッシュな香りと爽やかな酸味が特徴の春限定酒。
・五橋 純米吟醸 西都の雫しぼりたて生原酒：軽やかでキレのある夏向けの純米酒。
・五橋 純米ひやおろし（秋）：程よく熟成され、まろやかさが際立つ秋の定番。
・五橋 純米初しぼり：トロリとした口当たりで、米の甘みをしっかり感じられる冬季限定品。
4-2. 五橋 ファイブシリーズ
現代の日本酒ファンの嗜好に合わせて開発されたシリーズで、「ファイブイエロー」「ファイブブルー」「ファイブピンク」などのバリエーションがあります。白麹を使用したり、フルーティーな香りを活かしたりと、個性的な味わいが特徴です。
4-4. 五橋 ギフト
五橋はギフトに喜ばれる、化粧箱や桐箱専用の商品も販売しております。様々な種類があり
5. 酒米へのこだわりと農業法人「五橋農纏（のうてん）」
2015年、酒井酒造は農業法人「五橋農纏」を設立し、自社で酒米の栽培を開始しました。これにより、酒造りの根幹である米の品質を一層追求することが可能となり、さらに酒の味に深みと安定感を持たせることができるようになりました。
現在、「山田錦」「西都の雫」「日本晴」など、複数の酒米を育てており、それぞれの特性を活かした酒造りを行っています。
6. 「五橋」の評価と受賞歴
「五橋」は全国的に高い評価を受けており、数々の品評会で受賞歴を誇ります。また、日本酒ファンの間でも人気が高く、「SAKETIME」のランキングでも山口県内でトップクラスの評価を得ています。
特に「五橋 大吟醸」は、日本全国の日本酒コンテストで数多くの受賞歴を持ち、その品質の高さが証明されています。
7. 「五橋」の楽しみ方
「五橋」は、幅広い温度帯で楽しめる日本酒が多く、冷酒・常温・燗酒それぞれに適した銘柄が揃っています。
・純米酒や本醸造酒は、熱燗やぬる燗で飲むと米の旨味が引き立ちます。
・吟醸系やファイブシリーズは、冷やして飲むとフルーティーな香りが楽しめます。
・ひやおろしや大吟醸は、常温または少し冷やした状態で味のバランスを堪能できます。
また、和食だけでなく洋食にも合わせやすいのが「五橋」の魅力。白麹を使用した日本酒は、酸味があり魚介系の料理と相性が抜群です。
8. まとめ
「五橋」は、伝統を守りながらも革新を取り入れ、多様な日本酒を生み出し続ける酒井酒造の代表銘柄です。五味のバランスが取れた味わいは、多くの日本酒ファンに愛され、日本全国の食卓で楽しまれています。
これからも、地元の米と水にこだわり、さらなる進化を遂げていくであろう「五橋」。ぜひ一度、その奥深い味わいを堪能してみてはいかがでしょうか。
